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舞台「ギルバート・グレイプ」、観劇レポート 補足 [智花ウォッチング]

何回かレポートを書きましたが、最後の少し補足を書きたいと思います。DVD化はないことが判明しましたので、忘れない間に書いておきたいと思います。

まだ演技について書いていなかった人について、少しだけ書きたいと思います。まず、タッカー役の菅原永二さんですが、ユーモラスな演技は記憶に残っています。言葉が出て来なくて「なんていうの、なんていうの?」というのがあり、面白いですが、英語と日本語の違いのためか、出て来ない言葉が不自然な気もしました(笑)。居間の床が抜けないように地下室に入って補修をする時に、窪んだところから抜け出せなくなったところとか、ギルバートと電話しているシーンなのに、その電話相手のギルバートと舞台の上で顔を合わせるところとか、笑いを取るシーンが多かったです(^_^)。

確か、タッカーがバーガーバーン(ファミレス)でギルバートを慰めるシーンがあったと思うのですが、タッカーっていい奴だなという感じでした。原作のイメージはもう少しのろまな感じで、ギルバートに馬鹿にされているようなところがあるのですが、この舞台では、原作より好人物に描かれていて、菅原さんもそんな雰囲気を好演していると思いました。

ランスは、私的には、この舞台で一番印象が薄い登場人物でした。主人公ギルバートのいらいろに一因にもなっているので、舞台として必要な登場人物なんでしょうね。原作のイメージと比べると、少し地味な感じのランスだと思いました。特に印象に残っているのは、街の子供たちに追い掛けられて逃げるシーンです。ズボンを脱がされてたりして、笑いを誘うシーンもありました(^_^)。

街の子供達と言うと、智ちゃんも一部出てました。本当の子供のように見えて、可愛かったです。髪型はツインテールだったと思います。そう言えば、子供たちからランスとギルバートが車に乗って逃げる(?)シーンがありましたが、ギルバートが車で子供たちを振り切る時に、子供たちの方が追い掛けるふり(?)をして、実際は後ろに移動するような演技がありました。あれは、車の方が走り去るような感じに見えて、面白いなと思いました。この舞台の前に見たキャラメルボックスの「サンタクロースが歌ってくれた」で、阿部丈二さんが演じた警部の役を思い出したりしました。

この舞台を見て、ストーリー上(?)一つ気になったのは、カーヴァーさんが、自分の妻とギルバートとの不倫に気がついていたのかどうかというところです。原作を読んだ時も、最初に舞台を観た時も、カーヴァーさんは、気がついていないなと思ったんですが、舞台を何度も見ている間にひょっとして気がついているのかもという気がしてきました。というより、加納さんの演技は色々に解釈できるような含みを持たせてものになっているのかもしれません。

逆にベティが夫を殺したかどうかについては、舞台のベティの台詞(原作にもあります)「もう何年もまえから死んでる人をどうやって殺せるの?」が効いて、あれは事故だったんだなと納得できるようになっていると思います。

舞台で時折、ギルバートの心の中を文字で表現するところがありましたが、小説に書かれていることを演技で表現するのには限界があるような気がするので、あれは面白い試みだと思いました。ただ、ちょっとやり過ぎのようなところもあると感じました。文字が読みにくい場合もあり、読んでいると舞台の上の演技を見逃しそうになって、欲求不満に陥りそうになることをありました。ああいう文字の表現は最小限に抑えるべきだと思いました。

この舞台で、一番気になったのは、最後にお母さんの遺体ごと家を燃やしてしまうシーンの前に、医者を呼ばなかったことです。殺人ではないことを証明するという意味もありますが、自分の母親がもう生きていないと思っても、万一のことを考えて医者を呼ばないことは現実にはあり得ないと思うのです。細かいことと思われる方もいそうですが、私的には非常に違和感を感じましたし、そのことで舞台のリアリティと完成度を著しく損なっているように思いました。

それはともかく、この舞台は、何度も観れば観るほど味わいが深くなるような不思議な舞台でした。数々の感動のシーンもありますし、わずか数日の間にギルバートが大きく成長するドラマです。最後は衝撃的なシーンで終わりますが、むしろ爽やかな感動が残るという感じがします。日本の家族とはかなり違うところもあり、いろいろ考えさせられる舞台でした。
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